「10.1インチAndroidタブレット・フラッグシップモデル発売のお知らせ」というかなり誇張されたプレスリリースが発表された。どんなすごい性能のフラッグシップモデルかと期待したのだが、SoCはMT6765であるという。
株式会社慶洋エンジニアリングはNew Bridgeブランドより、既存モデルより基本スペックを更に進化させたAndroid 11タブレット、NewBridge TAB「NBTB102」を発売する。Androidでは再激戦区となる10.1インチモデルだ。発売日は2021年12月24日。販売想定価格は38,500円となっている。
慶洋エンジニアリングは「NBTB102」について、以下のように説明している。
本製品はご好評頂いております既存モデルの基本性能を大幅アップ、インターネットや動画視聴、色々なアプリを更に快適にお使い頂けるように開発した最新の高性能タブレットとなります。
10.1インチ・フルハイビジョンIPS液晶はそのままに、プロセッサー強化、メモリー&ストレージの容量アップ、無線5GHz対応、バッテリー容量アップと、多岐に渡り性能アップを図っております。
「最新の高性能タブレット」という大げさな宣伝文句から中国メーカーかと思われそうだが、慶洋エンジニアリングは「東京都港区に有る車載用機器開発メーカー」だそうだ。製品情報ページには「弊社にて設計・開発・製造・販売している製品をご紹介致します」と書かれているので、最低限設計は慶洋エンジニアリングでやっているのだろう。NewBridgeについて「NewBridgeは株式会社慶洋エンジニアリングの新しいブランドで海外と日本のかけ橋となり、使って楽しくなる商品をご紹介します」と書かれている。
NBTB102のスペック
機種名 | NBTB102 |
---|---|
JAN | 4545708003787 |
プロセッサー | MT6765 core A53×4+core A53×4 (8CORE) |
クロック周波数 | 2.3GHz |
メモリー | 4GB |
ストレージ | 約128GB |
プラットフォーム | Android™ 11 |
液晶パネル | 10.1インチ/IPS |
最大解像度 | フルハイビジョン1920×1200 |
表示色 | 最大1677万色 |
タッチ仕様 | 静電容量式、10点 |
フロントカメラ | 有効画素数約500万画素 |
リアカメラ | 有効画素数約800万画素、オートフォーカス、LEDライト |
GPS | 有 |
Gセンサー | 有 |
内蔵スピーカー | 1W×2(デュアル) |
内蔵マイク | 2(デュアル) |
USB端子 | Type-C×1(USB-OTG、USB2.0) |
ヘッドホン出力端子 | 口径3.5mmステレオミニジャック×1 |
外部ストレージスロット | microSDカード×1(SDXC:256GB迄対応、トレイ式) |
バッテリー | リチウムイオン、7100mAh |
駆動時間 | Web閲覧最長約13時間 *使用アプリ、輝度、音量等によって変わります。 |
充電時間 | 約4時間(待機且つ画面オフ状態時) |
電源 | 5V2A |
サイズ | 約244.4 x 163.4 x 8.9mm |
質量 | 約530g |
動作保証環境 | 温度0℃~40℃、湿度20%~80% *ただし結露しないこと。 |
付属品 | ACアダプタ、TYPE-Cケーブル、ストレージスロット用ピン、マニュアル |
特に記載はないことからLTEや5Gには非対応のWi-Fi専用モデルと思われる。驚きなのは、Wi-FiモデルでありながらGPSが「有」と記載されている点だ。GPSの仕様について詳細がまったく明らかにされていないため、対応するGPS測位衛星などまったくわからないのだが、本当ならテザリングでカーナビとして使うことも考えられる。このあたりは車載用機器開発メーカーらしい仕様かもしれない。
デュアルスピーカー・デュアルマイク、画面はTFTではなくフルHDのISP液晶という点は、動画視聴だけでなく近年増えているオンライン・ミーティングでも充分に使えそうだ。慶洋エンジニアリングが胸を張るような「最新の高性能タブレット」かといわれると疑問は残るが、及第点ではある。
MT6765
最大の問題はSoCだろう。MediatekのMT6765(Helio P35)を搭載しているのだが、これはドコモから販売されているソニーの「Xperia Ace II」と同じSoCだ。メモリも4GBと同程度である。「Xperia Ace II」はいわゆるエントリーモデルであり、その中でもかなりローエンドなスマートフォンといえる。現行世代としてはかなりギリギリのスマートフォンで、3Dゲームを楽しむようなスマートフォンではない。
「NBTB102」もその点は同様のはず。むしろフルHDで解像度が高い分、よりゲームでの処理性能は落ちるのではないだろうか。
上の画像もFPSや3Dゲームから切り出したような画像が添えられているにもかかわらず、「動画もアプリも」と書いているところに嘘にならないギリギリの誠実さが見受けられる。「ゲーム」ではなく、あくまで「アプリ」が快適動作なのだ。
ちなみに「Xperia Ace II」の新規販売価格は22,000円となっている。一方で「NBTB102」の想定売価は38,500円(税込)とされている。
スマートフォンとタブレットなので単純に比較はできないが、「Xperia Ace II」は当然のことながらnano-SIMに対応したセルラーモデルだ。おサイフケータイにも対応している。液晶が「Xperia Ace II」より大きくて上質とはいえ、「NBTB102」に38,500円という販売価格を正当化できるほどの性能があるとは思えない。人によって価値観は様々だが株式会社慶洋エンジニアリングのいう「フラッグシップモデル」や「最新の高性能タブレット」ではないように思える。
個人的には、Androidタブレットを買うのあれば2in1のChromebookの方が良いと思うし、この価格のタブレットであれば「Fire HD 10」の方がずっと安くて良いと思うのだが、どうだろうか。
source:株式会社慶洋エンジニアリング